開催が12月2,3日なので二週間遅れである。
ちょっと集計したデータを付ける構想を練っていたのであるが手がついていない分遅れた。
間に岡山ローカルの勉強会があったのでその前にネタバレを避けた点もある。
第4回電竜戦本戦参加者
総評としては新規の参加者、特に若い人が多くなったのが一番の成果と言える。運営スタッフとしては1ファイルマッチなどの構想は全て新規参加者開拓の試みである。
第3回電竜戦本戦では36エントリーから第4回電竜戦本戦では43エントリーと増加しており、うち25歳以下が9エントリーである。
新規参加者が多いと言うことは新しいアイデアが導入されるという事である。こういうマニアックな大会では常連が複数年かけてじっくり作り上げるものが多いがアイデアとしては凝り固まったり中長期的に方針が不変であったりする。もちろん大きな成果を生みためには当然の行為であるが、競技自体の硬直化につながると考えている。
結果一覧は以下のリンクである。
優勝は水匠。直前まで変更を加えていたやねうら王エンジンとたぶんお金を出してもすぐに買えないくらいのモンスターマシンがAMDから提供されているとのことですので、さすがですね。
2億NPSですか。ウチの方が20万NPSだったからやはり3桁くらい負けてますね。 #電竜戦 https://t.co/HWky29uanw
— 48@💙💛 (@bleu48) 2023年12月5日
2億npsと言われてピンと来ないので、私が白ビールで世界選手権優勝した際が概ね5000万nps程度だったと記憶しておりますので約4倍ですね。
二番絞りは約20万npsでした。
独創賞はねね将棋、生きた回線を保有したままのiPhoneで大会参加されたとのことである。
本年は多くの賞設置のスポンサーがあり解説者、聞き手、リスナーによる投票も行われた。対局数は有限であるから当然票は偏るのでW@nderERやRyfamateが複数賞を受賞するようなことになった。
また運営設置として置いたshotgunが真澤千星賞および大逆転賞を頂いた。運営設置であるため賞金は辞退する。
本件の理由として元々shotgunは持ち時間を極力消費せず最終版に時間を残すシステムである点および2017年のままの比較的古い局面評価関数を持っている点がある。昨今珍しく序盤をやや不利にしても中終盤を競り合うようなタイプである。
コンピュータ将棋界隈は現在序盤でついた差をじりじり拡大していくような対局が多いため逆転が少ない。その中で逆転を演じたとして観戦者の目についたのであろう。
2017年作成のウケ狙いが6年後にウケたと考えて良いだろうか。
決勝A級リーグの勝敗表は以下のようになった。
チームとしては全勝も全敗もなく激戦を物語っている。
10チームの総当たりのため組み合わせは45組。その全てを先手後手2局行っている。
集計すると、45組中2連勝が21組、1勝1敗が16組(うち先手勝ちが14、後手勝ちが2)である。1勝1分が8組あり、そのうち先手勝ちが6組、後手勝ちが2組であった。
昨今話題の先手勝率であるが、先手視点90局として集計すると55勝27敗8分となる。
引き分け0.4点として一局平均の勝ち点(勝率)が0.646(64.6%)となる。
ちなみに引き分け0.5勝換算すると平均65.5%となる。
以前先手勝率が7割と話があったが若干下がった感じになっていることがわかる。
実は第4回電竜戦本戦では前例のない大変野心的な施策が行われており、先手持ち時間を後手の半分にすることで是正を試みていた。少しは有効であったが完全な是正に至っていないことが確認された。
持ち時間をさらに削るのは対局エンジンの持ち時間マネジメントを考えると非常に危険な気がするので慎重に行わなくてはならない。
予選やC級では大半が2連勝であるため力量差のある対局では裏表の2局セットはあまり有効ではないとの考え方もある。多彩な対局組み合わせを優先する方が参加者に喜ばれるとの指摘などがあるとして今後の運営で再検討であろう。
冒頭にも書いてあるが、今回は若い人・新規参加者が多く運営としては大変満足のいく結果であった。今後もどんどん参加者が増えることを期待している。
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追記:
本戦上位者がハードウェア統一戦に参加する。
ハードウェアスペック差をなくした場合にどのチームが強いのかはっきりさせようとする大会である。スポンサー企業のお陰で本戦より賞金額が上がるという恐ろしいことになっているが是非注目して頂きたい。
ちなみに昨年準優勝の二番絞りは基準扱いとし昨年と全く同じもので出場します。今年の参加者はこの基準レベルをどうクリアするのか個人的に楽しみです。