2024年のキーワードNPUの話

昨今IT業界の話題はAI(人工知能)である。

若干スマホ界隈の方が先行していた風な感じのあるNPUであるがPC界隈も変わりつつある。

pc.watch.impress.co.jp

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以前からonnxruntimeなどオープンソース系AIではマイクロソフト社の活躍が凄いのだが,Windowsとなると若干出遅れていた感がある。理由は明白でハードウェアとして多くのデバイスに対応するため個々のハードウェアに特化した機能はOSとして押し出しにくいというのがある。

今年はNPUの規格はもちろん,実装がリリースされ普及する年になりそうだと言うのが本記事のネタである。上記リンクにもあるようにインテルAMDの両者からほぼ同時にほぼ同じ程度のパフォーマンスのNPUが搭載される。裏で政治的な協定でもあったんじゃないかと思うくらいだ。

 

さらに深くコメントすると上記両者が搭載しているのは両社ともモバイル用のCPUであるということに気づくだろう。これは何を意味しているかと言うとデスクトップ機であればNVIDIA一強と言われるようにGPUを搭載することで数十倍というパフォーマンスを手に入れることが出来る。モバイル機では一部のハイエンドゲーミングノート以外ではそこまでの性能はコスト的にも電力的にも難しい。

と言うことで,本件NPUでインテルAMDが対抗してるのはNVIDIAではないことは明白である。インテル側の資料がよりはっきりと省電力を打ち出していることが分かる。つまり,AI機能専用チップにより性能向上はもちろんだが,AI機能時の省電力を目指している。

 

似たような事例があったので紹介した方が理解が進むだろう。もう20年以上の歴史になる動画再生である。古のノートPCでは動画再生は非常に負荷が大きくバッテリー駆動では30分と持たなかった。MPEG1やMPEG2の時代である。

インテルは動画再生支援機能をCPUに盛り込むことで対応された動画であれば比較的省電力で再生することに成功した。新たな動画圧縮技術が生まれるたびにそれは更新されてきた。近頃ではAV1などであろう。

ノートPCのバッテリー駆動時間の基準が古くは動画再生時間で計測されていたのだが,これが劇的に伸びる結果となり,また動画再生がむしろ軽い処理とされるほどの時代になったため現在では他のバッテリー駆動時間計測が行われているほどである。

今ではYouTubeにはじまるネット越しの動画再生ですらバッテリー駆動で気軽に使える機能となった。

 

以上から類推するにAI機能をモバイルPCにおいて容易く扱うための下準備と考えるのが適当であろう。未来像としてNPUにより常時AIアシストさせるモバイルPCと言うのが想定される。

WindowsPCのキーボードにCopilotキーが追加されるという話も出ている。

www.itmedia.co.jp

 

ここからは余談になるが,この辺の元ネタは昨年のこれのアクセス数が年末年始で伸びていたことからヒントになっている。

APUも出たときはCPUとGPUの親和性から生まれたものであるが,これも動画再生支援機能がうまく働いた。つまり低コストで動画編集などが行えるという素晴らしいものであった。今ではAI機能に期待されており,その姿勢は私以外でも多く共通するものであったという風に見える。

ただ,現行APUでAI負荷を上げると割と熱暴走するので次世代に期待している。

bleu48.hatenablog.com

 

最後にたぶん同じ気持ちの人がいると思うけど,3D Vキャッシュ搭載のAPUをAMDに期待して終わる。実機出す技術があることは明白であり,パフォーマンス的にはAIには凄く効くはず。

もちろん,インテルがやってもいいけど。

 

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追記1/9:

AMD側はデスクトップ用のAPUでもNPUを乗せてくるらしいので8700Gでも仕入れれば実験可能のようだ。ノートPCは電源状態や冷却安定性から考えてベンチマークを取るのには向いていない。インテルもデスクトップ用で何か出荷して欲しい。

 

www.4gamer.net