以前GPU搭載の機械学習目的のノートPCについて書いたが結構なアクセス数がある。
機械学習向けのノートPCの話 - 48's diary
電力制限などの話題が珍しいのかもしれない。デスクトップと違って気軽に買い替えできないのでしっかり選んで頂きたい。
今回の話題はマイクロソフト社の定義したCopilot+ PCに関する話。
www.microsoft.com
まぁ,こういうのは流行らせようというのが目的で実際に流行る流行らないは五分五分である。MS社主導の割にソフトウェア対応が遅れて現状微妙なところ。
もちろん,本Copilot+ PCの定義で最も重要なところは40TOPS以上のNPUだろう。GPU搭載機はパフォーマンスで上回っていても対応機とされないらしい。この辺がビジネスだ。
で,当初対応が早かったハードウェアメーカがQualcommで,Snapdragon X Eliteシリーズとして相当頑張ったモデルを出してきたが価格帯が高過ぎた。絶対的パフォーマンスを誇れない後発,かつアピールするソフトウェアが出遅れたためコストパフォーマンスのアピールも難しかった。
現在では下位モデルのSnapdragon X Plusに低コスト版(8コア版)を投入すると共に対応ソフトウェアの拡大で面白い立ち位置になってきている。
昨日バージョンアップしたONNX Runtime v1.22がリリースされたがQualcomm対応が相当進んでいる上にライトユーザにも有難いPython用のバイナリも即リリースされている。
https://pypi.org/project/onnxruntime-openvino/
次点がインテルかAMDか難しいところだが,AMDを推しておこう。
AMDのNPU搭載機はAPUのみである。7000番台,8000番台に続きRyzen AI 300番台である。40TOPSの条件を満たすのはRyzen AI 300番台以降となるがこれもQualcomm同様頑張り過ぎた規格であるため高価格となっている。
先月くらいからKrackan PointというRyzen AI 300番台の低コスト版(Ryzen AI 5 340およびRyzen AI 7 350)が市場投入されてきており,こちらもQualcomm同様シェア拡大に繋がりそうな気配である。特にAMDの場合はx64アーキテクチャのためQualcommより買い易い雰囲気がある。
最後にインテルであるが,対応しているのはLunar Lakeのみである。もちろん,インテルも頑張った仕様になっているため同製品は高コスト品で値下げは困難であろう。
チップレット構成で製造されるLunar Lakeは低価格化が困難となっておりビジネス的な意味で後継が途絶えそうな雰囲気である。インテルの他CPUは40TOPSを満たしていないためCopilot+ PCが流行らないとも言えるほど足を引っ張っている状況である。
インテルの普及帯CPUの対応を期待しているのはMS社だけではないだろう。
おまけでApple社のMシリーズを並べておく。Armコアへ移行したMacシリーズは当初から全てNPUを搭載している。また,若干ソフトウェア対応が遅かったが現在同仕様のハードウェアが搭載されていることもありMS社よりもソフトウェア対応が容易な状況である。機械学習系の対応も進みつつあるためCopilot+ PCに対してLLM分野などでは半歩程度リードしているとの見方もある。もちろん欠点はシェアとスケーラビリティであろう。
と,休日のコーヒータイムにつらつらと書いていたが,結局インテル頑張って欲しいとの思いが強くなった。NPUに限らず,CPUもGPUもLANもSSDも全方面しっかりして頂きたい。