温故知新シリーズと言うのが一時期続いておりました。
まぁ教育用の資料は別に作ってあるので本日記は備忘録に近い。
もしかしたら1file matchの準備をする人には役立つこともあるかもしれない。
ところで,何かというとあの高名な竹部女流には参戦しなくなったプログラムには勝ったと言って良いとする煽り文句があります。初参加の時かな?生で聞いたことがあります。
これいつのコンピュータ将棋選手権で言った言葉だったか🤔地味に浸透していますね(煽り文句として)これから出場したソフトは電王戦で棋士に勝ったGPS将棋やponanzaにも勝てます!「◯◯?あぁ、あれには不戦勝したよ」と、ドヤりましょうദ്ദി˶ー̀֊ー́ ) https://t.co/mfDQPWbgQA
— たけべさゆり🍒 (@SayuriTakebe) 2023年8月26日
実際多くの技術ノウハウが公開され共有されたために中堅層クラスまで相当レベル上がってますからね。当時のソフトでは今一次予選すら通らないのでは?floodgateでも今あの技巧2が底辺層近くです。 https://t.co/tmXwENijIH
— 48@💙💛 (@bleu48) 2023年8月26日
せっかくなのでGPS将棋を再計測しましょうか。floodgateに詐称がいますけど、実際は3000前後になると予想しておきます。うちの100行プログラムがちょうど3000近くに居りますのでいい相手になるかどうか。
— 48@💙💛 (@bleu48) 2023年8月26日
これ実際参戦しなくなったプログラムはどんなものかと言うと技術的に古いので新しいPCを使ったところで全然強くならないってのが上の方の温故知新のシリーズでも確認していたと思います。つまり,マシンパワー差が出るのは同世代近いレート同士だけって話です。
この辺をこの週末確認してみました。大きめにfloodgateの表を切り出しておきます。
gpsfish_i5_1235Uというのがレート2789となっています。PCは本日記でも再三登場している今年買ったミニPCです。白ビールで4000強でしたっけ?
そう言えばfloodgateのレート基準がgikou2_1cの前がgpsfishで2800とされていました。
マシンスペック関係なく同じくらいのレートになることが確認されました。以前も一回同じような計測をやった記憶があるのを思い出しました。
実は当時も技巧2で多コアのハイエンドPCを使ったものを流しており3600台であった記憶があります。たまたま今7950X3Dを名乗る技巧がおりそのレート帯ですね。詐称ではなさそうです。
え~っといいPC使ってもGPSはレート上がらないのに技巧は上がるのかって話です。これは並列探索のアルゴリズムかそれの最適化程度が異なるのではないかと思います。技巧はLazy SMPが熟成した後の世代ですので並列化効率は高そうです。GPSは恐らくLazy SMP導入前のStockfishを参考にしているのではないかと推察します。実際に探索速度の変化が大きいことからもLazy SMPではないと思われます。恐らくYBWCですね。
YSSの山下さんも当時は並列化効率が悪くてデスクトップもノートPCも結果的にパフォーマンス差があまりなかったと仰っていました。もちろん今は大差です。
ついでですが,壊れたPCの供養にここでネタにしておきます。
Core2Duoの2コアで合わせても500knps満たない程度の探索速度で上記レート表にもあるようにKristallweizenが3700超です。並のPCなら4000超えますからね。
先週白いポリカのMacBookが壊れました。15年前のマシンでLANポートがあるのでfloodgateの番人にしていたものです。2コアありますが今の1コアにも劣ります。これが3700~3800のレート帯。並のPCなら簡単に超えられるところです。これ6年前の電王トーナメントのぽんぽこより上なんです。これが世代差です pic.twitter.com/MPLETGCrwT
— 48@💙💛 (@bleu48) 2023年8月26日
ここで話題にしている「ぽんぽこ」は第5回将棋電王トーナメントの優勝ソフトで一般公開されているものです。当時のPCスペックでレート3600台でした。同年春の世界選手権優勝のelmoを上回ります。
Release tanuki-sdt5-2017-11-16 · nodchip/tanuki- · GitHub
公開されているというのが重要でこれが誰でも比較検討に使える基準になります。もちろん,同大会で知られているようにPonanzaより明確に強いものです。
ですから,15年前の白いポリカのMacBookがあれば白ビールはデスクトップPCの全盛期のPonanzaより強いと言えます。プロ棋士や新聞記者が白ビールを利用して不満が無いと仰るのはこの辺が体感的に理解されているからでしょう。
最後におまけですが,sample3-4やsample3-5は今1file match用のサンプルプログラムとして作っているものです。Pythonで100行前後なのでさくっと読めると思います。インタプリタ処理ですから探索速度が桁違いに遅いので最終盤では探索数が多いエンジンに歯が立ちませんが結構健闘していると思います。
で,冒頭の竹部先生の言葉ですが,古いプログラムは結局その時点で止まってますので日進月歩で伸びる技術をキャッチアップしている人なら比較的簡単に上回ることができます。コンピュータ将棋の世界選手権では上位から中堅クラスの方がそれにあたります。もちろん新参で勉強不足であっても努力をすればそのうち少しずつ強くなっていくものと思います。
100行くらいのプログラムでGPSや技巧に勝つのって凄くないですか?
---
追記:
当時のfloodgateレートを集計されている方をみつけたのでリンクを貼っておきます。
マシン的には高価な多コア機があったりするんですが,やはりソフトウェアの世代差ですね。