レート計測の話(その2)獅子王戦感想

bleu48.hatenablog.com

 

前回獅子王戦の話をしましたが,昨日無事終わりました。

エントリーして不参加や一部の不戦敗などはありましたが,運営上は概ね8回戦大きなトラブル無く戦えたようです。

 

個人的には66位フィニッシュで前評判通りまごうことなき級位者レベルです。

 

golan.sakura.ne.jp

 

色々と得るものがありました。

まず,5分5Fのフィッシャールールへの対応の問題ですね。切れ負けを何度もやりました。

秒読みが5秒前から読んでくれるのですが,それでは既に手遅れ感があります。

とくに慣れてないからか残り3秒くらいでは一回クリックミスしただけでやり直しが間に合わず時間切れになります。

対策はなんとなく思いつきましたが,平時から相手を時間攻めするくらいに構えるのが良さそうです。人力マルチポンダーというと適切かもしれませんが,相手の指し手候補で読みやすそうなのはこちらの応手も決めておいて即返すのが比較的簡単にできます。

 

個人的に次の一手問題などをゆっくり考えるのが好きなので,うっかり時間を使ってしまうのが私個人の悪い癖でしょうか。

ネタの流れ的に丁度いいので前回の八段証書の話にしましょう。

 

2017年に将棋のAI開発を始めた頃は毎日のように棋譜を数十局は見てました。デバッグ的な意味と感覚的理解から何かインスピレーションがないかという期待からもありました。そうして数カ月気が付いたらうちのAIに限るのかもしれませんが,指し手予想が結構当たるようになってました。

 

丁度連盟サイトに次の一手懸賞問題があったので三段,六段,八段と各10問だったかを印刷して,暇なときに順に解いていってました。私の趣味だとクロスワード数独と同じなので,指し手メモしながら当時多かった出張中など含めて十分な時間検討できました。簡単な問題で小一時間,全部で延べ三カ月くらいだったと記憶しています。一応第一感の的中率は7割くらいの印象です。(第一感メモしたのち虱潰しで人力探索です)

八段問題のひとつで一カ月以上結論が出ず悩んで結局締め切り間近に応募して模範解答を貰うことにしました。いつもは解が出れば満足して投稿などしないのですが。

結果は意外で連盟と2,3メールの往来をしながら確認したところ後手の詰めろ逃れの詰めろと飛車打ちの王手で攻め駒を素抜く筋を見落としていた出題ミスとなりました。これで八段の申請書を手に入れたわけです。連盟に確認したところ証書申請には300万円と提示されましたので醒めてしまい放置してました(笑)

その後の電王トーナメントの優勝賞金が丁度300万円でしたので,優勝していれば申請していたかもしれませんね。

 

それから4年,AI開発でも棋譜を見ることが少なくなった今では指し手の直感が全くとは言いませんが働かなくなっているようです。特に自分でも反応が遅いように思います。疲労もありますかね。

とにかく今回5秒とかでは全然何もできない感覚ですね。非常にストレスになりましたがこれはこれで楽しめました。

 

また,もうひとつ感覚的な理解ができたのはスイス式トーナメントです。

たとえば参加者が64人(2^6)居れば6回戦で全勝ひとりになる仕組みですが,今回の獅子王戦70人以上いたので8回戦でも全勝が残る展開でした。

私はよわよわでしたが,切れ負け不戦敗などがあって途中勝ち星を頂きました。スイス式トーナメントではこれが結構やっかいで勝ち星が同じくらいの人同士で当たります。つまり,まぐれ勝ちをすると実力以上の人と当てられてしまいます。

その結果私が実力拮抗した人と当たった感じになったのは最後の二局くらいじゃないかというのが体感的理解です。もちろん棋力が近い参加者が少なかったのもあります。

対局後棋譜解析したところ最後の二局のみ逆転劇が起こっていました。他は評価値が単調に推移する負けです。直感が正しいみたいですね。

スイス式トーナメントはこういった感じなんだなぁということでした。そういえば参加者に全敗はいなかったことも特筆すべき点かもしれません。単純なトーナメントではこうはいきません。

 

最後になりましたが獅子王戦参加者の皆様,運営の皆様ありがとうございました。