振り飛車党とは

観る将の戯言と思ってください。

 

振り飛車党と言う言葉がある。佐藤天彦前名人をして今振り飛車党であることは宗教者としての信心を試されているような状況にある。そしてそれは横歩取りの後手を持つ棋士も同じであるとコメントされている。

 

コム将としては本意ではないが若干加担した気がするので申し訳ない限りである。特に電王トーナメントでは横歩取り定跡が実にヒットしたし,近頃飛車を振らないコンピュータ将棋開発者のひとりでもある。

学習の過渡期であって,そのうち振るようになるんじゃないかという憶測もあるがそういうのは置いておこう。

 

振り飛車党の定義として振り飛車しかしないというのがある。陽動を入れて状況次第で振るのではなく,まず戦型は振ると決めている。それは相手に狙い撃ちされるというのが今までの対抗形である。

現在信心が試されているというのはコンピュータの評価値が辛いことによる。事実飛車を振っただけで多くのソフトの評価値が下がる。持久形になれば拮抗するのでそれほど心配する必要はないのではという意見もあるが,今はひと昔のソフトと段違いの評価値精度であるため無視しづらいように思う。

 

そもそも振り飛車党の利点とはなんだろうか。

飛車を振る筋および美濃囲いまでが比較的自由であることにある。居飛車戦だと相掛かり・角換わり・矢倉・横歩等複数の戦型を準備しないことには対戦できない。序盤の駒組が楽なため初級者向けと言われている。級位者にとって短手数で負けないことは何より重要である。

さらに特徴として捌きと言われる。これは複数の意味で使われる。駒の働きが相手より上回ること。また,それに付随して一手の価値が高い状況を生み出す手法である。

 

捌きのテクニック自体は必ずしも振り飛車の特権であるわけではないが,攻守のメリハリがつけやすい陣形がミソであるように思う。

こんな話を何か上手に言語化や数値化できる方法はないのかと2年くらい思案している。