以前、菅井八段に「振り飛車を強くしてください」と言われたときにはAI的には縛りプレイとなるので学習しづらいと回答していました。我ながらつまらん人間です。
ちょうど先月末からAobaZeroプロジェクトの派生でAoba振り飛車がはじまっていました。
具体的にはニューラルネットワークの入力情報に振りたい筋を入れることおよび、結果として振ることが出来た場合にインセンティブを与える方法でやや無理矢理に学習させています。
詳しくは本家に行って見て下さい。
個人的に面白いと感じたのが振り飛車の定義で、Aoba振り飛車では「11手目から24手目までの先手後手、各7局面で一番多い回数存在した筋をX筋飛車、とします。」と書かれています。確かにこれで一意に定まりますが、例外的に飛車が盤面にない可能性もあると言えばありますね。
例えば横歩取り青野流で74の位置で飛車交換する定跡がありますが、それが24手目ですね。それまでに先手飛車が最も多くの回数存在したのは34の位置なので3筋飛車と定義できそうです。後手飛車は少し遅れて横歩を取るので8筋飛車となるでしょう。
この局面に詳しいサイトがありましたのでリンク置いておきます。
横歩取り青野流△52玉ー△76飛から△74飛 - 将棋ジャム
ということで11手目までに盤面から飛車を失わない限りなんとか定義できそうです。
で、今日の王位戦です。
2024年8月19日~8月20日 七番勝負 第4局 藤井聡太王位 対 渡辺明九段|第65期王位戦
後手が52飛車としたのは28手目ですので上記定義だと8筋飛車となり居飛車の範疇となります。
一般的な戦型分類では矢倉中飛車と言われる急戦矢倉です。これを振り飛車という将棋通は居ないと思いますが、一部メディアでは振り飛車と報道されているようです。
ええ、タイミング的にこれだけのネタです。