書評

書評の類はあっちやそっちで書いてたのだけど
珍しくこっちでもしてみるテスト。
 

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

 
久しぶりにミーハーな選書をした気がする。
内容は哲学的なものを予測してたのだが,違った。
いや,著者は政治哲学と書いてあるから哲学の類なのかもしれないか。
 
で,元ネタは著者がハーバードで学部生相手に行った政治哲学の講義らしい。
そういう意味では学生レベルに合わせて書かれていると感じながら読んだ。
まぁ,良くも悪くもアメリカの大学で教えるアメリカの政治哲学の本になっている。
 
Amazonでベストセラーらしいがウケるのはそういう予備知識が無かった人向けだろう。
個人的には特に新鮮に感じられた哲学思想などはなかった。
カントの後にアリストテレスを持ってきて「実践的」と言う話をするのは
やはりアメリカ的なのだろう。
JFKオバマ賞賛が所々にある一方,偏った文献引用で安倍元首相を批判している。
 
また,「正義」という言葉があるが,3極に対する相対的な議論が多く
やはりアメリカの正義も実践的で相対的なものなんだろうかと感じる。事実そういうところがある。
 
思想を深めるとかの類ではなく,教科書として参照を行って,さらに具体例を複数挙げて
実践になるように模範解答や著者の考える理想的な解の範囲を示している。
工業数学が数学の応用なのと同様に,政治哲学というジャンルが哲学の応用なのかもしれない。
著者も哲学者ではなく教育者なのだろうと思う。
 
まぁ,それでも今の日本で哲学や政治哲学に目を向けさせたと言うのは賞賛に値する。
ふと,途中で放り出しているカントを読み直してみたくなった。