やねうら王の恩恵の話

今にはじまったことでもないと思いますが,ネット上でずれた批判があるようです。

 

yaneuraou.yaneu.com

 

基本的に私は相当後発組なのでBonanza,Apery,技巧,やねうら王などのオープンソースのプログラムから多くの恩恵を受けることができました。短期間で様々な実験ができて思うような調整が出来てるのは全て先人のお陰です。

 

特にやねうら王に関しては特別ドキュメント類が多いのが素晴らしい特徴です。

まず,Stockfishの解説文です。今となっては古典バージョンですが,これは他に類がない貴重な情報源です。

Stockfish完全解析 | やねうら王 公式サイト

 

次に,やねうら王miniに関する解説文書です。

当初より簡潔に可読性高く書かれており,新規参入者を促す目的で活動されていることが明記されています。小分けに段階を踏んで説明されており,プログラミングの入門者でも時間をかければ対応可能なほど丁寧に記述されています。

やねうら王オープンソースプロジェクト | やねうら王 公式サイト

 

詰将棋solverなどについてはタイトルのみで中止されていますが,こういうことは誰のプロジェクトでもあることです。

また,やねうら王の原型は9年前のひよこ将棋の頃に既に概ねのイメージが完成されており,事実テラショック定跡のコンセプトなども9年前にあります。

定跡の自動作成に取り組みます - ひよこ将棋、はじめました。

 

こういった思考の過程をオープンにしていることも多くの参入者の助けになっていることは言うまでもありません。開発ブログの記載量でも随一と言っていいと思います。

もちろん,それも長年継続的な活動を行っているためでもあります。素晴らしい活動をしていても短期間であれば影響力はそれほど大きくなることは難しいのです。継続的にオープンな活動を続けていることこそが一番の恩恵と思っています。

 

また,多くの開発者がコメントするにはコードの特徴があります。

私の場合C言語を学んである程度のプロダクトを作るほど習熟した後にC++を学びました。C++コードを書く場合でもどうしてもbetter C的な書き方になります。これは恐らく学習過程によるものでC++が普及してから学んだ人とは影響力の多寡はありますがどうしても異なります。

という感じで近い世代だとコード的に馴染みやすい気はします。

悪く言うと最近の若者から見ると古臭いスタイルかもしれません。

 

また,最後に加えますが定期的に新しい試みを加えてくる姿勢も持ち味ですね。あれだけのコードを長期間保守しているとどうしても新しいものを加えるのは億劫になりがちなのですがまだまだ新しい試みをされています。有効かどうかは別にしてタフだなぁと感心しています。

 

実際業界への貢献度は随一と私は考えています。