新年の抱負

「過去現在、そして下手したら今後数年の未来までも含めて史上最強の将棋プログラムになるかもしれない。」ってやね師匠が言うてます。

やねうら王、新年の抱負を語る | やねうら王 公式サイト

 

ウチは昨年の探索部の検証データが揃ってから,今年の探索部を弄ろうと思ってたのですがオチオチしてたら間に合いませんね。(ソフト開発のスケジュール感が分からん人は分からんでしょうが)

今年も検証データ作成を後回しで勘の調整で体裁を作る感じになりそうです。

私,勘と運だけは良いので(嘘)

 

探索部の新しいアルゴリズムを考えているのですが,実装となると難しいなぁと手が止まっております。というのもロジックはできてもそれを高速実行することができないと全くの無意味なものとなってしまうからです。そしてそれは並列計算というのが大前提となります。

ええ,この時点でまともな参考書籍が皆無になります。

どっか北欧の大学院生が何年前かに書いた修士論文と保木先生の大作が一番参考になったりします。もちろん前者はチェスですね。

その辺今月中に目途が付いたらライブラリ勢じゃなくなります。←ここフラグですよ

 

Google的なアプローチもあるんでしょうが,うちでやれる規模じゃないです。

リーラ何某も私の守備範囲じゃないですね。まぁ,手伝い居たら別ですけど。

#手伝い居たらやりますって意味ですよ。

 

具体的な目標としては大将軍に勝ちたいです。

昨年はタヌキとハニワに勝った時点で祝杯でしたので今年は大将軍を目標に頑張ります。

それと電王トーナメントでは惜しくも焼き肉祝勝会を開けませんでしたので,今度こそ焼き肉祝勝会をやりたいと思います。←ここもフラグですよ

今週のお題「2019年の抱負」でした。

今年の振り返りと新年の予定

ざっと振り返ります。

 

1月

岡山自作AIの会を発足しました。

どうしても金の臭いがしてしまうのでなるべく泥臭い命名です。

但馬先生に協力頂いて,結局私が3時間くらい喋ってた気がします。

チームメイト募集にノーリアクションが予想外でした。

応募者が居ればチーム名に「岡山」が入ってた気がします。

 

2月

雑務の細かい合間の時間でGAやらpyaqやら弄ってた感じです。

まだまだ知らないことが多いなぁって実感してた時期でしょうか。

無作為に気の向くまま学習するのって楽しいですね。

wcsc28へエントリーした直後で方向性の検討を進めてました。(検討中=進んでない)

新ネタ模索って感じかな。

 

3月

一応考えたパラメータの計測祭ってところでしょうか。

リソースの半分以上は技巧2周りの調べ事だった気がします。

出村さんの次くらいに技巧2に詳しくなったような幻想を見ました。(憑依気味)

 

4月

新入生研修担当ってのもあってバタバタしておりました。

太陽公園のお城は初入場でした。

バスツアーの間も計算機は既にバッチ処理状態でした。(部屋暖かいなり)

 

5月

世界コンピュータ将棋選手権で優勝いたしました。

初参加なので段取りや雰囲気も分からず色々御迷惑おかけしました。

基本アルゴリズムはshotgunのままなので昨年末にはほぼ完成してたとはいえ

細かい調整は主に年始からですが,割と頑張ってた気がします。

月末学内のフォーラムで展示。来客多数で結構遊んで頂けました。

 

6月

自作AIの会を開催してました。

世界チャンピオンのアルゴリズムの話をしたところそりゃ勝つわなみたいなリアクションだったのを覚えております。

これをそのまま月末のゲーム情報学研究会に持ち込みました。

多くの過去参加者にアカデミックな場で聞いていただけてコメント頂けたのが大変ありがたいところです。

カツオおいしかったです。

 

7月

GPWへお誘いを受けたので準備をしてた時期ですね。

別ネタの方がいいだろうってことで,とりあえず実践的なアルゴリズムを再検証して

アカデミックな場に耐える仕様に仕上げようとしてました。

オープンキャンパス・オープンハードカンファレンスなどで出展しておりました。

 

8月

Vtuberハッカソンに参加して遊んだりしてました。

職場の雑務で土日を潰したりするのであんまり夏休みって感じはないですね。

 

9月

合同勉強会から始まって色々専門外に手を出せた時期かな。

複数の原稿とかの準備も並行してたのであんまり遠出してなかった。

 

10月

Pycon mini Hiroshimaで講演と酒祭

GPW科研費の原稿を送って,スケートアメリカの観戦

ボーイングエバレット工場とシアトル旧市街の観光を慌ただしく仕上げる

プライベートの海外旅行を全て代休で済ませられる位の業務過多

 

11月

学祭,意外と知名度がないことがわかる。

知ってる学生は知ってるけど,知らない学生も多いんだなぁ。

燃焼シンポ,GPWと発表を梯子した後オープンCAEシンポの原稿を送ってフランス杯に出かける。

グルノーブル旧市街は比較的小さな街でワインとチーズが名物,観光にはフランス革命の舞台であるバスティーユ牢獄がありました。地質学的にも面白いところのようです。

もちろん昔冬季オリンピックを行った場所でもあります。

反政府のデモが行われており,トラムの運転に支障が出ており英語が通じない田舎町で少々不便をしました。

帰国便の際に空港で火災があり,手荷物検査を二度受ける手間に出発が一時間遅れて土産が準備できなかったのが残念です。

 

12月

オープンCAEシンポジウム,他と来客層が違うのか話の通りが微妙。

口頭発表は短い時間なので新ネタを説明するのは難しいですね。

懇親会は鉄板ネタで盛り上がる感じ。会場が5月と同じ川崎。

年末は合同勉強会・忘年会議が恒例。

サプライズニュースが飛び交うのも恒例だけど,色々動くよねぇ。

 

今年は例年の発表より多めの上,北米欧州と二回出かけたので体力的にも結構しんどかった気がします。

出張費もしんどかった(笑)

相当厚かましいボランティア依頼にも慣れてきました。

来年は計画的に進める部分を上手に納めて遊びを確保しようと思います。

 

wcsc29はエントリー予定ですが,チーム構成は未確定ですので

参加希望者・スポンサーなどの応募があれば喜んでお聞きします。

決まってるのは私自身の身売りに失敗したため(笑),やはり私がチームを率いるくらいです。

Barrel houseが唯一のスポンサーで,来年もTシャツを用意してくださるそうです。

大口スポンサーでしたら,チーム名やソフト名の変更など検討致します。遠慮なく申し出下さい。

クラウドの計算機代を出して頂けますと大歓迎です。(これ忘年会議で宣伝すべきでした)

 

そういえばBarrel houseの忘年会が今年まだありました。

生ハム原木を一本持ち込みますので新年のお客さんにも振舞われるかも。

GPWに参加してみて

屋外での立ち仕事の影響か喉をやられたまま出張してきました。

大阪で一件発表の後,箱根でゲームプログラミングワークショップ。

Game Programming Workshop

例年箱根の研修施設で合宿制で行われているとのこと,初参加でしたが堅苦しくないところの交流ができて非常に面白かったです。

そもそも,集まるテーマがゲームプログラミングですので,ゲーム理論の理論家から機械学習アルゴリズムを始め,聞いたことのないボードゲームの必勝手順などの話まで面白くないものがないわけです。

 

私も口頭発表をさせて頂きましたが,専門外のこともあり専門用語などを適正に使えたかどうかすら心配でしたが,実践的に強化する方策としては正しいだろうし,そういう視点のない人からしたら刺激的な発表だったのではないかとお褒め頂くシーンも御座いました。別に将棋ではないがチェスで類似のアルゴリズムがあったとの指摘にはまったく調べてないとしか回答できなかったので,アカデミックな場に出るとそういうところも今後確認しなくてはならないのだと覚悟しました。

 

口頭発表後に夜のイベントとして酒席があるのはもちろんですが,そこでGPW杯が開催されました。コンピュータ将棋もあり結果は以下のようになりました。

 

  

玩具として別のプログラムももってくればよかったかなぁと感じるところです。

5五将棋やガイスターなどが参加者が多く盛り上がっておりました。

ガイスターは不完全情報を上手に駆け引きに使う競技のようで,経験者のコメントでは人間でも相当面白いゲームのようです。

体調体力に余裕があれば若い人に交じって深夜まで遊べたかなぁとか思ってます。

 

箱根帰りで疲れたぁってところに,コレです。

 

  

レミさん,WCSC29用にガチで今から全計算能力を将棋に突っ込むらしいです。

怖いですねぇ。楽しみですねぇ。

プログラマーとは違うかも

岡山でローカルなものを幾つか立ち上げてきた。

地域の草ITコミュニティもその一つで,もう10年以上になる。

小さなイベントは数えきれないが,近頃プロ化しているように感じる。

登壇経験豊富な人だけが登壇するというような傾向と同時に,参加者がその分野のプロであることが増えているように思う。(あくまで主観である)

 

okayama.open-seminar.org

 

勉強会の類を立ち上げ始めた当初はプロの人も居れば,完全に趣味のサンデープログラマーや学校の先生・学生などある意味多様性があった。出来る出来ないに関わらず集めないと成立しなかったってこともある。

最近は岡山でも同日に3つもIT系の勉強会が開かれたりする程度で分野や専門性に割れている気がする。私は好奇心で動くタイプなので適当に参加するが,他の方はどうだろう?

(あ,ここで宣伝になるけど年末の合同勉強会は混ぜ混ぜなので面白そうよ)

 

gbdaitokai.connpass.com

 

最近は登壇者が「エンジニアの方?」と言うととりあえず手を挙げたり挙げなかったりするが,「プログラマーの人?」って言われるとさすがに手は挙げない。

 

プログラマーとは専門職である。昔はプログラマーの真似事をして小銭を稼いだ時期もあるが,当時は人手不足と業界のレベルが低かったのも幸いしたのだろう。今のプログラマーは優秀な人が多いし,すごく良いコードを書かれている。(酷いのもあるらしいけどね)

自分のコードがどこかの修復フレスコ画レベルな程度な気がしてるので,Githubでもよほどのことが無い限りissuesで済ませてpull requestはほぼ送らない。

 

完全にリスペクトの対象なんよね。

自分で書くコードは自分用だから雑に作って使い捨てる。他人のために書くコードが無いから酷いものでも平気なんだが,それも長く続けると自覚するレベルで酷い。

再利用することが極稀にあるが,ほんとよく動いてたなぁってのを目の辺りにする。

良いライブラリの類を書かれている人に何か御礼をしたいとかは思うのだが,そういう機会はあまり巡って来ない。

github投げ銭機能でもあればいいのに 

 

そういえば,オープンCAE界隈では特定issuesに相乗りでスポンサーを付けてプログラマーを雇う仕組みが回っているそうな。他のところはどうなんかな?

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めっちゃ話逸れたw

認知バイアスの話

認知バイアスの話。

若者が感じる閉塞感の話題で「心のクラッチ」と言うキーワードを得た。

 

  

認知バイアスと言えばダニエル・カーネマンで,ダニエル・カーネマンはとりあえず以下の本を読んでくれればいいんだと思う。

直感的に感じることと熟慮することの差異,それぞれで生じるちょっとした齟齬などを心理学の視点からまとめた名著である。結果としてノーベル経済学賞を得たというより,これ以後のノーベル経済学賞が全部これ系になってしまう程度の革命。

当人は経済学者じゃなく心理学者なので,心理学者唯一のノーベル賞受賞者

興味あれば是非読んでもらいたい。 

 

ファスト&スロー (上)

ファスト&スロー (上)

 

  

前振りはこれくらにして結構認知バイアスってのが面白い。

過去の卒論だけど,プロ野球選手の年俸について調べた学生がいた。

選手としての成績と年俸は相関が高いはずだとの信念でなんとか係数を出そうとしていたんだがあまり相関値が上がらない。

まぁ,仕方ないね。プロって実力じゃなく人気で評価されるものなので。

 

全盛期のイチローが一番打者でチーム年俸の半分近くをひとりで持って行った。戦力と年俸のバランスなんてあったもんじゃないが,集客力として評価すれば妥当だったのであろう。

同時に思いもよらない哀しい話が多く見つかった。

例えばどうしても年俸の傾きが出ないゾーンがある。選手比率で約半数と結構な分量ある。

ゾーンは二つあって当時440万円と1500万円の同額で結構な範囲でフラットになる。

  

プロ野球に詳しい人はこれが二軍保証年俸と一軍保証年俸と分かる。

そう,大半の選手はこの金額なのよね。ニュースになるような年俸交渉のテーブルに乗るスター選手は一握り。

プロ野球では二軍保証年俸のまま3年以内に引退する選手が約半数である事実。

意外と認知されていないし,活躍するとすごく年俸があがるイメージが刷り込まれている。

メディアに踊らされる認知バイアスの最たるものじゃないかな。

 

まぁ,若い人は踊らされ過ぎないように。

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ついでにメモっておくとプロ野球の平均年俸で1500万円とかかれているものと3500万円と書かれているものが目についた。

前者は二軍を含み,後者は一軍のみである。

平均値が二倍以上異なるってどういうことかちょっと考えてみよう。

お金の話

オセロの世界王者は食えないそうです。

 

news.nifty.com

 

コンピュータ将棋の世界王者も食えない感じです。

  

  

先月の広島で出したスライドなのでもう隠すようなものでもないので晒します。

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計算に入ってないのは賞金の所得税や大会中の飲食費や準備中の電気代と事後ゲーム情報学研究会で発表にかかった費用かな。既存の古いPCは計算に入ってません。

たぶん,まだ黒字だと思います。

 

酒の席になると金になる話や有名になったのかとかそういう下世話な話ばかりですが,金銭的な収支は以上ですし,メディア取材は5月の選手権中に朝日新聞将棋世界の二誌のみです。

個人的には金になる話や(情熱大陸とか女流棋士と対談とか)メディア取材の話を持って来て頂いても歓迎ですよ。

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追記:

大切なスポンサー様を失念しておりました。

Barrel house様よりTシャツを支援頂いております。

また,祝賀会ではビールを頂きました。

www.facebook.com

 

Hefeweizenの特殊性

あんまり理解されてないようなので,一番分かりやすいスライドをちょっとネットに乗せてみる。

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少々冗談のような世界が理解頂ければ幸いである。

ちなみにCSAルールでは1秒未満切り捨て,1秒以上は切り上げなので2秒の消費時間というのはどこかで1回通信遅延のようなものがあったのだろうとの認識である。

よく定跡ゲームと言われてるが定跡だけで終局まで指せるわけがない。

相手の着手までに相手の指し手を予測しそれに対する応手を決めている。

もちろん,本番では複数のAWSハイエンドインスタンスで手分けして探索を行った。

応手部分は多くの参戦者と大きな差異はないつもりだが,面白いのが相手の指し手予測である。

情報系で言うと先読みとか投機実行とかそういう表現になる。

この設定の対局はチームメイトとの約束で一次予選だけにしておいたが,コブラさんに勝ってるくらいなので,このまま決勝でもいけたんじゃないかって感じもある。

何度か行っているイベントの余興では同じくノータイム指しの設定でノートPCの1スレッド探索で遊んでもらったが,アマチュアの有段者もいらっしゃったようだが勝利を収めた人はひとりもいない。

1スレッドであっても対局者が時間を使う局面で相当深くまで事前探索できる。

昨年末にfloodgateに投入したshotgun_zeroの完成形と言えば気づく人がいるかもしれない。

 

面白いと思って頂ければ幸いである。

自己対戦とか考えたくもない。