認知バイアスの話。
若者が感じる閉塞感の話題で「心のクラッチ」と言うキーワードを得た。
周囲のスピード、特に目立つ人や情報のスピードと、自分の歩みの違いが、嫌でも見えてしまう。これは確かに現代の特徴かも知れません。精神的クラッチをうまく使って流れに乗ったり外れたりしろよ、と若者には伝えたい。
— Takashi SASAKI 佐々木隆志 (@TakashiSasaki) November 2, 2018
認知バイアスと言えばダニエル・カーネマンで,ダニエル・カーネマンはとりあえず以下の本を読んでくれればいいんだと思う。
直感的に感じることと熟慮することの差異,それぞれで生じるちょっとした齟齬などを心理学の視点からまとめた名著である。結果としてノーベル経済学賞を得たというより,これ以後のノーベル経済学賞が全部これ系になってしまう程度の革命。
当人は経済学者じゃなく心理学者なので,心理学者唯一のノーベル賞受賞者。
興味あれば是非読んでもらいたい。

- 作者: ダニエルカーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/28
- メディア: Kindle版
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前振りはこれくらにして結構認知バイアスってのが面白い。
過去の卒論だけど,プロ野球選手の年俸について調べた学生がいた。
選手としての成績と年俸は相関が高いはずだとの信念でなんとか係数を出そうとしていたんだがあまり相関値が上がらない。
まぁ,仕方ないね。プロって実力じゃなく人気で評価されるものなので。
全盛期のイチローが一番打者でチーム年俸の半分近くをひとりで持って行った。戦力と年俸のバランスなんてあったもんじゃないが,集客力として評価すれば妥当だったのであろう。
同時に思いもよらない哀しい話が多く見つかった。
例えばどうしても年俸の傾きが出ないゾーンがある。選手比率で約半数と結構な分量ある。
ゾーンは二つあって当時440万円と1500万円の同額で結構な範囲でフラットになる。
プロ野球に詳しい人はこれが二軍保証年俸と一軍保証年俸と分かる。
そう,大半の選手はこの金額なのよね。ニュースになるような年俸交渉のテーブルに乗るスター選手は一握り。
プロ野球では二軍保証年俸のまま3年以内に引退する選手が約半数である事実。
意外と認知されていないし,活躍するとすごく年俸があがるイメージが刷り込まれている。
メディアに踊らされる認知バイアスの最たるものじゃないかな。
まぁ,若い人は踊らされ過ぎないように。
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ついでにメモっておくとプロ野球の平均年俸で1500万円とかかれているものと3500万円と書かれているものが目についた。
前者は二軍を含み,後者は一軍のみである。
平均値が二倍以上異なるってどういうことかちょっと考えてみよう。