随分遅れてしまいましたが、2月18日で第1回マイナビニュース杯電竜戦ハードウェア統一戦が終了いたしました。
運営側としては構想から準備から根回し不具合の修正などなど随分と勉強になりました。電王トーナメントのときも感じましたが運営側は色々と考えることが多いですね。やってみないと分からないことが学べるのは良い機会でした。
結果は優勝が水匠(電竜)、準優勝が二番絞りとなりました。
まぁ、私の方は世界コンピュータ将棋選手権の準優勝モデルから一切手を入れていないのでそもそも決勝に残ることは想定しておりませんでした。結果的には本当に高精度評価は間違いないしハードウェアスペックが制限されても強かったことを証明できたと思っております。
で、せっかくですので運営らしく戦型分析などを行ってみました。
ほぼそのままですが、参考にするのはコンピュータ将棋界のレジェンド柿木さんです。
第32回世界コンピュータ将棋選手権の戦型分析 - 将棋プログラミング
特に柿木さんは日本将棋連盟のお仕事もされており公式の棋譜管理における戦型分類ルーチンを担当されているように聞いています。つまり柿木将棋の戦型分類に任せておけば間違いないと(私は)思います。
棋譜は上記リンクの公式サイトから一括ダウンロードできます。
それでは、まずは統計計算です。
リーグ戦240局に準決勝2局決勝2局+サドンデス2局の246局ですね。
判定されていないのが3局ありました。kifファイルの形式ブレによる読み込み不具合でしょうか。電竜戦では512手で打ち切り引き分け(持将棋)となります。
加えると平均手数も随分伸びるように思います。
昨今話題の先手勝率は思ったほどでもなく本大会のルールなどに起因する要素(事前にファイルを渡して以後変更禁止)が大きい感じがします。
次に、戦型分析です。
角換わりその他+角換わり腰掛銀で30%近くありますね。やはり流行でしょうか。
腰掛銀が先手勝率が高いのに対し、その他は後手が勝っているのも注目点です。
相掛かりは相変わらずの先手勝率ですね。
四間飛車・三間飛車は Just Stop 26歩やEtude No.1、ECLIPSE、HoneyWaffleなどが積極的に振っている感じでしょうか。コンピュータ将棋界隈でこの振り飛車率は相当高い印象です。
半面、矢倉・雁木が3%程度、横歩取りに至っては2局なのはちょっと残念な気もします。
柿木さんに倣って初手分析も行いました。
初手26歩が多いのは想像通りでしたが、先手勝率が7割と異常ですね。
逆に76歩の先手勝率が38%と低いのも異様な感じがします。振り飛車勢の苦戦を物語っているのかもしれません。
やはりリーグ戦で多く対局した分統計的な分析に使いやすくなっているのは間違いないですが、初手分析にもみられる通り奇を衒ったものもあるようで一筋縄ではいかないようです。
もちろん、想像以上に面白いことをしてくれる参加者がいてこその大会運営ですので実に楽しいことです。
参加者や視聴者の皆様もありがとうございました。