ニコ生のKristallweizenが辛過ぎる件

  

タイトル戦の評価値が早々に大きく出ているようです。

二日制のタイトル戦なのに初日に4桁の評価値を出して話題だそうです。

予備知識がない人向けに荒い目に説明しておきます。

 

1.うちのPCのKristallweizenより大きめ

ニコ生の中継だと大きめの評価を出すようです。

Kristallweizen自体はダウンロードできるので手元で確認された方も報告しておられますが,ニコ生の方が恐らくずっと深い局面まで探索しています。

そもそも探索とは1手先,2手先と読んでいくワケです。評価値とはその局面の評価値です。現在コンピュータ将棋で主流なのは荒い評価値だけど計算が軽いものを使う手法で,その分多くの局面を評価しようとするものです。1手先を読めば1手先で一番評価値の良いものを選びます。2手先を読めば相手にとって良い手,自分にとって良い手と選びます。3手の読みは将棋用語ですね。

そうして数手先の局面が評価できればこれを表示しているのが現在のニコ生の評価値です。徐々に探索を深くしていくので,最初は頻繁に値が動き徐々に落ち着くのが分かります。その評価値は当然数手先の局面の評価値です。

ニコ生の評価値は一般家庭のPCよりずっと性能の良いものを用いているため相当先の局面の評価値を表示しているってことで,御理解下さい。

御興味あれば1時間500円くらいでAWSを使えば似たような感覚をお試しいただけると思います。Hashは20GB以上を推奨しています。

 

2.以前の評価値を出していた電王ぽんぽこより大きめ

これは微妙なところです。そもそも,ぽんぽこが相当大きめに出ます。これは公開されているファイルですので手元にインストールして確かめて頂ければ分かります。

半分推測ですが,ぽんぽこの設定が甘くて本来の性能を出し切っていなかったためではないかと思っています。この推測をされている開発者も多いようです。

ということで,ぽんぽこはそれほど深く先を読めていなかった可能性があります。比較して現行のKristallweizenは相当読めているようです。

 

3.プロの感覚より大きめ

一度プロの方に読み筋を見て頂いた方が良いかもしれません。中継画面に表示されているのは数手ですが,実際の探索深さは25~30はゆうに超えています。その局面を見て大きく出ていると判断された場合はそうなのかもしれません。また,読み筋が違う場合も多いと思いますが仕方ないとしかコメントできません。解説者が解説できる深さではないと思いますので,余裕があるプロ(B級1組で最年少の方など)に是非遊んで頂きたいと思います。

 

4.俺の感覚より大きめ

御自宅のPCや過去のぽんぽこの指標に慣れた方は上記の理由です。

弱い方は参考値くらいに思ってください。私もこの類です。

数字ひとつ出されるより複数の未来を提示して欲しいと思っています。

また,プロより強い方は一度Kristallweizenと戯れて下さい。是非。

 

5.序盤で差がつき過ぎ

これに関しては評価関数の歴史を学んだ方が面白いかもしれません。キーワードだけ順に挙げておきます。Bonanza,NineDayFever,elmoと荒く3つ順にしておきます。

 

他に欲しいコメントがあれば遠慮なくどうぞ。