先日の世界選手権でNNUE勢が上位を占めました。
GCTが電竜戦を制したところでDL勢の天下になるとの予想は覆されたことになりますが,この原因が持ち時間にあるとの話が選手権の中継中にありました。
他に原因を求めづらいからの仮説ですが,きちんと検証する必要があるでしょう。
問題を整理しておきます。
第1回電竜戦:2020年11月開催
持ち時間10分,2秒加算のフィッシャールール
コンピュータ将棋界初DL勢GCT優勝(マシンはA100 x8)
elmoおよび白ビール不在,W@nderERがi7でエントリー
ただし,BURNING_BRIDGES,みずうら王,GrampusなどがThreadripper 3990X
第31回世界選手権:2021年5月開催
持ち時間15分,5秒加算のフィッシャールール
NNUE勢elmo優勝(マシンは恐らくc5.metal,48コア96スレッド)
電竜戦で居なかったPAL,elmo,白ビール,Ryfamate,大将軍,Qugiyなどが決勝進出
電竜戦上位のGrampus,BURNING_BRIDGESが不在
ちなみに現行のfloodgateが持ち時間5分,10秒加算のフィッシャールールです。
こちらは大変ありがたいことにA100 x8のGCTやc5.metalのDaigorillaが投入されており参考になります。
選手権ではDaigorillaが上位でしたがfloodgateでは相当拮抗しております。
そして電竜戦ではGCTの圧勝でした。
持ち時間は単純比較しづらいのですが昨今の平均値でざっくり180手で終局と仮定すれば,選手権1350秒,floodgate1200秒,電竜戦780秒となります。
二倍に満たない幅でこれだけの過渡現象がみられるのは非常に貴重なことかと思われます。
ちなみに表中の二番絞りは決勝で使う予定だったオプションBです。
また,floodgateを見る限り上位陣が以前のマシンスペックの差で殴り合うというより相性的なもので勝敗がつくケースも多くなっているように見受けられます。これも過渡期の現象でしょう。
持ち時間短い方がDL勢に優位なんでしょうか?持ち時間長い方がスケールするとか言う話がAlphaZeroの方でありましたが,矛盾しますね。
さて,これらの大きな要因はどこにあるでしょうか?
観戦される方は第2回電竜戦へのelmo,PALの参加が注目ポイントかと思います。