コンピュータ将棋の役に立ってるところのひとつだと思う棋譜解析についてちょっとメモっておく。
棋譜解析ってのはその棋譜が誰によって作られたものであれ,それをコンピュータ将棋の手法で解析していくものである。コンピュータの棋譜であれば当然ミスが少ないようにでるが,人間の棋譜では多くミスが発生しているように見える。
しかも,昨今コンピュータの方が強いという風潮のため解析結果がコンピュータの方が正しいとみられがちである。概ね正しそうな意見であるが,これがいつのまにか100%に近いものであると妄信しておられる方が出ているように思う。特に自身の棋力がないために局面の複雑さや争点をずらすような駆け引きを理解していない人がそうありがちであるように思う。
参考値程度に見ておくのがいいんじゃないかと思ってる。それともう少し分析的な評価をする方法がないかと現在考案中である。まぁ,ひとつはshotgunの内部を可視化するような試みなんだけど,上手な可視化方法が見つかっていない。PVを複数並べるだけでは高段者以外は捉えにくいように思う。玉の堅さや遠さと言ったパラメータの数値化も過去に様々行われているがこれも今一つ人間が見て有用なものに思えない。他にも局面の複雑度や難易度と言った漠然としたパラメータが浮かぶが定量化可能かどうかすら未知である。
また,解析における適正パラメータについても色々言われている。もちろん使用PCのスペックに依存するので一概に最適値などは言えるものでもない。比較的低スペックなものであれば時間をかけて解析すればそれなりの解が得られると思われる。
個人的にちょっとオススメのオプションはShogiGUIの「終局面から解析(逆順)」である。解析時に手を進めて局面評価を行うが順方向に解析するのに比べて,逆方向から解析していくと進んだ局面のデータ(置換表とか言う)が既に存在するので比較的早く深い探索が行われる。欠点は棋譜の手順だけ優先的に深く考慮されてしまうため,他の手順が本筋より浅い探索になってしまう傾向があるというところ。少し気を付けた方がいいかもしれない。試される方は興味ある棋譜を順方向と逆方向の二通りの解析順で確かめて頂きたい。
順方向で緩手と思われた手が逆順解析で妙手と評価されることが稀にあることが分かると思う。いや,ほんと難しいです。