AI超えとは将棋界でよく使われるようになった言葉ですが,実際のところ全然超えてないのは明白なのですが(以下略)
ちょっと録画したまま放置していたNHK杯の囲碁を見ていましたら,正真正銘のAI超えがありました。
6月19日(日)放送依田紀基九段と辻󠄀篤仁三段の一戦ですが,52手目3の六に放り込んだ局面。
直前まで互角の戦いをしていたはずの評価値が一気に後手に振れました。
75%まで行っています。
この場面で普段からAIを利用した研究を行なっていると思われる解説者も聞き手も非常に珍しい手であることと同時にAIの挙動も珍しい現象であると述べています。
一般的には最善手を指して動かない,それ以外の手では程度次第ですが少し下がるのが通例です。指した側が上がるのは完全なAI側の読み抜けとなりますね。
通常モンテカルロ木探索では上位候補手を優先して探索するのですが,この候補手リストを作る部分が現在深層学習モデルです。この手を完全に読み抜けたということでしょう。
実際上の場面で3の六に放り込んだ白石はどうみても即取られる石です。
深層学習モデルでは探索以前に優先度を極度に下げられたのだと思われます。
とはいっても現在の計算機で人間スケールの持ち時間を使って抜けるのは非常に珍しいことです。
NHK杯の中継AIは山口さんの担当でAQだったと思うのですが,当時でも相当強いものであったと思います。それでもこういったことは起こるのですね。
もしかすると極度に低スペックなPCなのかもしれません。
NHK杯を全て見ているわけではないので,たまたまですが驚きました。
藤沢さん相手でも大石取ってしまう剛腕は鳥肌ものですね。
棋力のない私でもすごいことが起こっていることが分かりました。
この二人すごいですよ。今後も注目です。