続SDT5メモ

二日目の話
現場到着して会場レイアウトが全く変わってることに気づく。
今日は右端の最前列。
ステージ左右に3台ずつPCが並んでおり,決勝の人って恥ずかしいなぁとか言ってた気がする。
正直テンパってる上,非日常過ぎて空気読むとかそういうことは全く無理。
軽口に御気分を害された方はまことに申し訳ない。
 
「セットアップお願いします」とスタッフさん。
PCに向かう慌ただしい参加者の皆さん。
私「え?昨日インストールしたから実行するだけじゃないの?」
誰か「今日1時間切れ負けですよ」「あ,そんなことすら忘れてた」
i7 6700のターボブースト持続時間とそれぞれの負荷率の探索速度を考慮して昨日調整した数字を
えいやっと4倍して2か所ほど書き換える。1時間って15分の4倍よね。#これが少し間違いなことに後で気づく
メインがpythonスクリプト制御なのでこれで終わり。
手持無沙汰なレベル。
 
昨日の反省会メンバーも出そろってきて,優勝したら焼肉であることを確認され和やかな雰囲気。
そういえば上京前に参戦者アピールのつもりで優勝したら賞金全額寄付するとかツイートしてるので赤字覚悟である。
個人的には決勝メンバー最弱のつもりなので負けて観戦側に行く心づもり。
軽口としてラッキーパンチが当たるとしたら横歩ですかねぇとリップサービス
 
決勝初戦,Selene
決勝は振り駒で先後を決めるので(当日知った)
振り駒をする。先手だwww
その後,名の通ったベテラン強豪にラッキーパンチが当たる。
ヤバい。これは・・・今日も胃が痛い。
 
準々決勝,Yorkie
Yorkieとは予選で当たって負けている。
席も二つ隣と近かったので対戦画面が見えていた。
黒い画面で戦われていたのでLinuxでチューニングされているとかそういう話を聞いていた。
探索速度が速いってのは画面に出てる数字を見てもわかる。
うちはやねうら王エンジンデフォルトなので2割は劣る。#しかもうちの主力スレッドはその3/8である。
評価関数も公開されているものをほぼ流用している。(予選の対わっふる評価関数を除く。)
勝ち目がないと思ってた。
 
振り駒,先手を取る。
完全に流れがキテる。応援に焼肉コールが入る。
そろそろ雰囲気がつらいので,安い店探しておいて下さいと期待感を逸らす。
 
ツボ,横歩を頂く。
その後,さっくりと押し切ると思いきやじりじりと20手ほどかけて原点付近まで評価値を押し戻される。
ぶっちゃけた話,これが横綱相撲ってやつで初日のPonanza戦とかと同じで負けを確信した。
見てるとつらいので離席して他の局面を見て回っていた。
やはり理論物理屋のかっぱさんがすごく知的な戦略を組んでおり,それについて大変な早口で語られていた。
同意する点も大変有用でためになる点もあったので真剣に聞いていた。
いづれにしても左側半分の過熱感が半端ない。
決勝トーナメントでPonanzaが入った側半分を電王トーナメント用語で「ぽな山」と言うらしい。
かっぱさんがPonanza相手に激戦を繰り広げている。他人の試合はすごく楽しい。
やねさんとたぬきさんの師弟対決はたぬきさん有利でちょっと気まずい雰囲気。
そういえば私も予選でやねさんに泥塗ったんだった。
やねさんの心境は察するに余る。
 
で,見てなかった。
ウチの戦いは200手くらいまで進んでるらしい。
評価値が荒れている。「こっちは今の手でいいと言ってますがそっちどうですか?」って
この競技でしか使わない他人事のような頻出ワードが飛ぶ。
開発者はボクシングのセコンドかモータースポーツピットクルーのようなポジションだ。
基本的に見てるだけなんだが,心労がすごい。
ponderと言うのが相手手番のときの予測手で,この先を探索するのだが
うちはこれを当てるために分岐探索をしてる。
イメージ的には手数多く軽いパンチでポイントを稼ぐアウトボクサーだ。(井岡叔父の方をイメージしてください。本当はパンチも重いらしいですが)
他のエンジンはほぼ一手読みでponderをやってる。プロトコルレベルの問題なのだが
不満がありつつ従ってる人が多いよう。
で,Yorkieはこの一手読みのponderを連続で当ててくる。
即指しはこっちの得意技なのにやられる。分岐先読みする時間すら取れない状況。
アウトボクサーがインファイターのクリーンヒットを連続でもらった瞬間である。
見てるのがツライ。
 
のどが渇いてちょっと給水して戻ると何故か優位っぽい雰囲気になってる。
220手を超えて残り手数を数え出す。うちも玉形の安全を優先したような大駒の動きに
引き分けの雰囲気がでてる。立ち合いの勝又先生も覗き込んでいる。
230手を超えた頃,depth26まで探索が到達すれば当然なんだがYorkieが引き分けを読み切ったそうな。
Yorkieの評価値が中央に落ちた。
うちは探索が浅いので優位と思ってる。
240手手前くらいでmate35とか言ってる。あと35手あれば詰むのかぁ。
引き分けですねとあいさつし,写真を撮ってツイート。
再試合は15分でしたっけ?と言いながら今日の調整した数字を昨日の値に戻す。
 
控室で給水してたら何やら揉め事の様子。
この辺は居た場所や情報の流れによって印象が違うんだろうけど???な感じ。
結局別室に通されてルールを確認される。
256手を超えた場合,立ち合い人判断の優劣がなければ引き分け。
今回はmateが出てるウチの勝ちとの判定を頂く。
確かにプロ棋士の判定だろう。
対戦者が即詰みが見えてるときに時間切れしても勝ちとされるのは分かる。
本件はそういう事例に準ずるとのことだ。
 
自力はYorkieさんの方が強いと思ってるし,こういうのは気持ちよくやりたいので
「僕が再戦希望してもダメですか?」と最後に再度確認したが,まぁそういうことだ。
その後のYorkieさん5位決定戦辞退の件は本人の意思が堅いようなので
「僕は戦うのを見たいなぁ」と思ったけどやはり固辞された。
次,戦ってもらうのを確約して頂いたので4駒評価を実装したYorkieを楽しみにしておく。
つーか,現時点でたぶん勝てないんですけど。
 
で・・・だ・・・・・
もしかして賞金確定してない?
焼肉コールがやばい。
 
準決勝,読み太
振り駒で先手。もはや神風に近い。
横歩を取る予感しかしない。
焼肉コールがマジでやばい。
 
横歩を取ると思ったが何故か矢倉戦。
もう見てるのがしんどいので控室で飲み物を飲んだり
たぬきPonanza戦観戦で現実逃避してた。
正直正気ではない。
ぽな山の雰囲気もやばい。
この辺り興奮状態で皆何を言ってるのか耳に入っていない。
 
決勝,ぽんぽこ
うん,なんでここに居るんだろう。
違和感しかない。
ニコ生で見たことがあるステージ,朝は誰かが恥ずかしそうに立ってるんだろうと予測したステージに居るらしい。
客側からどう見えたのか正直分からないが,胃痛を抱えた不健康そうなおっさんの姿でもあったんだろう。
 
「3台にインストールしてください」
何も難しいことを言っているわけでないスタッフの声が左から右に抜けて他人事のようにしか聞こえない。
あー,データ移さないと・・・当日更新データ含めUSBメモリに全部集めてから2台にコピー。
うちは面倒なのでドライブレターからパスまで決め打ちである。c:\work\shotgun
配布されて気持ち悪いプログラムの筆頭じゃないだろうか。
あとはもうなるようになれ。
焼肉コールが危険すぎるが,さすがに優勝はないだろうとずっと思っている。
どっかの選挙演説じゃないが「私がビビる」
 
振り駒,後手を引いたので2が先手,1,3が後手との展開。
決勝に神風は無かった。
対戦開始
2が速攻で横歩。金の頭を叩いた時点で勝ちを確信。
そこから読みを外されウチの定跡が終わり。
千田先生「こういう局面,長手数の頓死筋あるんでウチの定跡には入れてないんです。」
実践的なプロの意見である。悪い予感しかしない。
あー,うちはコンピュータ将棋なので紙一重の局面が得意と言うかそういう勝負だけで勝ってきたんです。悪い癖,軽口である。
相手の生角が歩当たりながらも玉頭に二枚張り付いて確かに危険だ。
 
他の二局も接戦だ。
基本的にうちは浅い探索で早指し,相手時間を減らす盤外戦術に近い技が持ち味なので
きっちり丁寧に指されると弱い。
序盤定跡でほとんどポイントが取れてないのがツライ。
たぬきさんに聞いてみると「まふ定跡(非公開版)」と言うものを使われているらしい。
5月の選手権で猛威を振るった定跡手筋の最新版が4,5人だけに託されているとのこと。
そういうのもあるんだ。(すっかり忘れてた。)
まぁ,うちの定跡の方が勝ってたのでなんとかほぼ互角局面で時間優位を稼ぐことに成功。
ざっと聞いた感じだと局面数で7,8倍程度のアドバンテージがあった模様。
 
その後,2の横歩が一気に押され始める。
浅い探索の欠点である読み抜けであることは明白。
負けを覚悟する。
1,3は力負けするので全敗もありうるのは自明。
 
まぁ,そういう感じで準優勝。
それから表彰やら撮影やらあんまり暇もなく懇親会。
色んな人と話ができたけど,もっともっと情報交換がしたかった。
ここでも途中でインタビュー入れたいとか撮影が入って戻ったらラストオーダーも終わってた。
二次会に行く。
私がいるということで反省会じゃなく祝勝会という名前になった。
なにやら将棋と関係ない話ばかりして解散。
 
終電もないのでタクシーでホテルに戻り爆酔。


結論:
取れる横歩は全部取ると手動で入れた定跡が一番の勝因

その勝因を導いたのはfloodgateでの横歩戦連敗であることも付け加えておく